北村耳鼻咽喉科
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咳の症状

咳の症状

咳はさまざまな病気で出ますが、出始めてからどのくらいの期間がたっているかで病気の種類が異なるため、大きく2つに分けられます。咳が出始めてから3週間までを急性咳嗽、それ以降を遷延性・慢性咳嗽と言います。急性咳嗽は、ウイルス感染によるかぜ症候群が多く、発熱、鼻水、のどの痛み、倦怠感などを伴い、感染性咳嗽とも呼ばれます。発症3週間以降の遷延性・慢性咳嗽は感染そのものによるものは少なく、ぜんそく、咳ぜんそくやアトピー咳嗽、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎によって鼻水がのどに流れるための咳(後鼻漏症候群)、逆流性食道炎、感染後咳嗽が多いと言われています。いずれにしても、咳はご本人にとっても周囲の方にも大変困る症状ですのでできるだけ早く止めるように的確な診断と治療が必要です。

急性咳嗽でみられる病気

かぜ症候群

鼻からのどまでの上気道に急性の炎症が生じる病気を「かぜ症候群」と呼びます。かぜをひくと鼻がのどに流れるためにせきが出ます。かぜは主にライノウイルスやコロナウイルスなどのウイルスが上気道内の粘膜に付着し、増殖することによって発症します。かぜにかかった人の咳などの飛沫感染などによって周囲に広がっていきますので、外出時にはマスクをする、外出後は手洗いとうがいを欠かさない、などの予防対策を行うことが大切です。
乳幼児では1年に平均6~8回罹患します。高齢者では重症化することがあります。発症から3~4日目をピークにその後改善します。

かぜの主な症状

くしゃみ 鼻水 鼻づまり 発熱 寒気 頭痛 喉の痛み 咳 痰 倦怠感 腹痛 下痢 嘔吐 食欲不振 など

かぜの治療

かぜは自然になおる傾向が強いのですが、耳鼻咽喉科では、のどの腫れ、鼻の状態、咳、痰などを見極め、かぜの重症度を判断し、必要な治療を行ないます。主に院内での咽頭へのルゴール塗布、上咽頭への塩化亜鉛塗布(咽頭天蓋刺激法)、のどのネブライザー治療を行います。かぜの熱は、ウイルスから体を守るために出るので、患者さんが我慢できないときにだけ鎮痛解熱剤をお使いになることをお勧めします。熱がなければ、鼻水を減らすために抗ヒスタミン剤を処方します。
お子さんにはしっかり鼻をかむように指導します。通常は発症から3~4日目をピークにその後、改善します。
また、かぜに伴って副鼻腔炎や中耳炎、扁桃炎などの合併症が起こることがよくありますので、適切に治療します。
なお、かぜによって腹痛や下痢、嘔吐、全身の倦怠感、頭痛などが見られた場合は内科を受診するとよいでしょう。

非定型肺炎(マイコプラズマ肺炎・百日咳・クラミジア肺炎)

60歳未満で、ほかに病気がないのに頑固な乾いたせきが続く場合は非定型肺炎かもしれません。
お早めに受診して下さい。

マイコプラズマ肺炎

肺炎マイコプラズマという細菌が原因です。
コンコンという乾いた強い咳が、しつこく続くのが特徴です。初期症状はかぜと同じく発熱、倦怠感、頭痛などで、鼻水はあまり出ずに、解熱後も3~4週間程度、咳が長く続きます。ぜんそくのようなせきになることもあります。お子様から若い方がかかられることが多い病気です。

診断

院内で、のどを綿棒でぬぐって、迅速検査を行います。15分で感染しているかどうかがわかります。

治療

マクロライド系の抗生剤を7~10日間内服します。なおりにくい場合や重症の方は総合病院に入院して抗生剤の点滴を行う場合もあります。

百日咳

百日咳菌という細菌が原因です。発作的に短い咳が連続してコンコンと出たり、せき込んだ後、息を吸うときにヒューという音がします。せきは夜間に強く、せきのため嘔吐することもあります。乳児では、無呼吸、けいれん、意識障害をおこして重症化することもあります。6週~12週でせきはおさまります。成人でかかる人も多く、乳幼児のせき症状と異なり、息を吸うときにヒューという音はしません。乳幼児と経過は同じですが、重症化することは少ないです。

診断

院内で、鼻の奥を綿棒でぬぐって、迅速検査を行います。約2日で感染しているかどうかがわかります。成人では、ぜんそくと区別するために大きく息を吐きだしてもらい、その時に聴診で、軽いゼーゼー(喘鳴)が聞こえないか確認します。

治療

マクロライド系の抗生剤を7~14日間内服します。せきはなおりにくいのですが、患者さんの除菌を行い、周囲に菌を広げないために必要です。6か月未満の乳幼児は重症化しやすいので総合病院での入院治療をお勧めします。

クラミジア肺炎

肺炎クラミジア菌という細菌が原因です。子供から高齢者までかかる病気です。
学校や高齢者施設で集団発生することがあります。激しい咳が3~4週間続きます。ぜんそくのようなゼーゼーする呼吸音が聞こえることも多いです。高熱が出ることは少ないです。

診断

血液検査で、結果が1週間後にわかります。

治療

マクロライド系の抗生剤かキノロン系抗菌剤を10~14日間内服します。なおりにくい場合や重症の方は総合病院に入院して抗生剤の点滴を行う場合もあります。

遷延性咳嗽・慢性咳嗽でみられる病気

後鼻漏症候群(副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎)

「鼻の奥に何か流れる感じ」を自覚され、繰り返される咳払いが特徴の病気です。副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎で見られます。3週間以上続く湿ったせきで、夜間に多く、繰り返される咳払いを認めます。

診断

鼻鏡や鼻咽喉ファイバースコープ(電子スコープ)で鼻水がのどに流れているのを確認します。また副鼻腔炎ではレントゲン検査、アレルギー性鼻炎では、血液検査でアレルギーの原因を調べます。

治療

副鼻腔炎では、ガイドラインに従い抗生剤等の内服や院内での鼻処置や抗生剤のネブライザー治療などを行います。

アレルギー性鼻炎では、ガイドラインに従い抗ヒスタミン薬の内服やステロイド点鼻薬を使用したり、舌下免疫療法を行います。院内ではアレルゲンを除去するために鼻洗浄を行い、ネブライザー治療(鼻の吸入治療)を行います。

ぜんそく(喘息)

ぜんそくとは、いつも気管や気管支に炎症が起きて、粘膜が腫れて狭くなっている状態をいいます。かぜをひいたり、ほこりやダニの死骸などを吸い込んだり、気温の変化が大きいときにせきや痰が頻回に出て、ゼーゼー・ヒューヒューという音が胸から聞こえたり、息苦しくなります。夜間や早朝に症状が出やすい病気です。ぜんそく発作という息ができない状態になると命にかかわります。お早目の治療が大切です。

診断

ぜんそく発作時に受診された場合は、聴診を行い、血液中の酸素の量を調べます。すぐに気管支を広げる吸入薬をネブライザーで吸っていただき、息苦しさが軽快したかお聞きして、再度血液中の酸素の量を調べて改善したか確認します。受診時に無症状の方には、問診を丁寧に行い、血液検査でほこりやダニ、カビなどに対するアレルギーがないか調べます。また無症状の時でも、思いっきり大きく息を吐きだしていただくと、ヒュー、キューというような音が聴診で確認できる場合があります。この音が聞こえたらぜんそくを疑います。

治療

ガイドラインに沿って、軽症から重症までステロイド吸入薬を単独で使うか、ステロイドと気管支拡張薬の配合された吸入薬を使います。吸入薬は直接気管支に到達するため、少ない量の薬物で効果が得られる優れた薬剤です。内服ではロイコトリエン拮抗薬とよばれる気管支の炎症をおさえて気管支を広げる作用のあるお薬を使います。吸入薬は種類が多いので、患者様のご要望をうかがいながら適切なものを選択します。

咳喘息(せきだけを症状とするぜんそく)

慢性的にせきが出ますが、息苦しさや、ゼーゼー・ヒューヒューという音が胸から聞こえない病気です。せきの患者さんの原因としては頻度の高い病気です。 放置すると、成人では30~40%、小児ではさらに高頻度にゼーゼー・ヒューヒューが聞かれる典型的なぜんそくになります。お早めの治療が大切です。

診断

問診で、せきが就寝時、夜間、早朝に出て悪化しやすいこと、息苦しくはないこと、ゼーゼー・ヒューヒューという音(喘鳴)が聞かれないこと、冷たい空気を吸ったり、会話をするとせきが出やすいことを確認します。聴診で、思いっきり大きく息を吐きだしても喘鳴が確認できないことを確認します。診察中に突発的にせきが出たときは、すぐに気管支を広げる吸入薬をネブライザーで吸っていただき、せきが止まるか確認します。血液検査でほこりやダニ、カビなどに対するアレルギーがないか調べます。
気管支拡張薬の吸入や貼り薬を1~2週間処方してせき症状が消失するのを確認することも行います。

治療

喘息と同じく、ステロイド吸入薬を単独で使うか、ステロイドと気管支拡張薬の配合された吸入薬を使います。吸入薬は種類が多いので、患者様のご要望をうかがいながら適切なものを選択します。

アトピー咳嗽

アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患をお持ちの方に多くみられる慢性的なせきで、のどのかゆみがあることが多いです。ゼーゼー・ヒューヒューという音(喘鳴)が聞かれないこと、息苦しさがないことも特徴です。せきは就寝時、深夜から早朝、起床時の順で多くみられます。またかぜをひいたり、気温や湿度、雨などの気圧の変化や、会話や電話などで悪化します。

診断

アレルギー疾患に用いる抗ヒスタミン薬の内服でせきが止まることで診断します。約60%の方でせきが止まります。血液検査でほこりやダニ、カビなどに対するアレルギーがないか調べます。

治療

抗ヒスタミン薬の内服治療を行います。せきが止まらないときにはステロイド吸入薬を追加します。吸入薬は種類が多いので、患者様のご要望をうかがいながら適切なものを選択します。

逆流性食道炎(GERD)

慢性的なせきが、食事中や食後、前かがみの姿勢をとったときや、会話時に特に出る病気です。胸やけや口に胃酸が上がってきて酸っぱい味を感じることも特徴です。のどの違和感の原因としても多い病気です。胃酸が食道に逆流することで起こります。

診断

Fスケール問診票という12項目の症状のアンケートに記載していただき、スコアが8点以上ですと逆流性食道炎の可能性が高いと判断できます。また電子スコープで喉頭を確認すると披裂部と呼ばれる粘膜に腫れが見られることがあります。上部消化管内視鏡(胃カメラ)は、異常(びらん)を示さない逆流性食道炎患者が多いため感度が低いと言われていますが、消化器内科の先生に相談されることをお勧めします。

治療

食後2時間は横にならない、前かがみの姿勢を長時間とらない、食生活の改善、減量などの生活習慣の改善方法をお話しし、実行した時のせきの改善を再診時にお伺いします。症状が強い場合は、胃酸を抑える薬(PPI)や胃の運動を促進するお薬の内服をしていただきます。軽症では約2か月の内服治療で改善する方がほとんどです。

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