北村耳鼻咽喉科
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めまい

めまいについて

めまいで悩んでいる方は多いのですが、めまいの感覚は人によっても異なります。具体的には、回転性めまい(自分や周囲が回転しているように感じる)、動揺性めまい(乗り物酔いのような感覚)、浮動性めまい(体がフワフワ浮いているような気分)、立ちくらみ(立ち上がっているときに目の前が暗くなる感覚)などです。回転性めまい(自分や周囲が回転しているように感じる)は、耳にある前庭器官や三半規管の異常が原因の場合が多いので当院での治療が必要です。
手足が動かしにくい、しゃべりにくいなどの症状がある場合は脳梗塞などの脳血管障害が疑われますので早急に脳外科や神経内科を受診してください。

このような症状の方は耳鼻科にご相談を

  • 天井がぐるぐる回るようなめまいがする 嘔気や嘔吐がある
  • 頭を動かすと急にめまいがおこるが、じっとしているとめまいが止まる
  • 左右にふらついてまっすぐ歩けない
  • 周囲の景色が回って見えたことがある
  • 歩行時に、ふわふわした感覚がある
  • 頭がふらふらし、吐き気や嘔吐を覚えたことがある
  • 車や電車などに乗ったとき、気分が悪くなった
  • 鏡などを見たとき、フラフラしたことがある
  • 気分が不安になり、冷汗が出た

など

当院でのめまいの診察

丁寧に問診し、患者さまの状態を確認します。その上で、必要な検査を行い、めまいの原因を見定めます。具体的には、赤外線フレンツエル眼鏡での平衡機能検査を行い、眼振(眼の振るえ)の有無を調べます。また起立して体のバランスを調べる検査も行います。立ちくらみがある方には坐位と立位での血圧測定を行います。

めまいをおこす疾患

めまいを起こす病気には、良性発作性頭位めまい症やメニエール病、前庭神経炎、突発性難聴、慢性中耳炎など耳鼻科領域のものが良く知られています。但し、急激に起こるめまいの中には、脳出血や脳梗塞など重篤な脳血管障害も考えられます。

メニエール病

症状

突然の回転性のめまいと共に、耳鳴り、耳閉感、難聴などが数時間から半日程度続く病気です。めまい発作が繰り返して起こるのが特徴です。ただ、この発作を度々起こすようになると、徐々に難聴が進行して、発作が起きていない状態でも軽いふらつきや耳鳴りといった症状が残るようになります。

なぜメニエール病になるのか

発症原因については、内耳の内リンパ液(蝸牛管)圧の上昇(内リンパ水腫)と言われ、これにより耳閉塞感が起こります。さらに内リンパ水腫が大きくなって内リンパ腔の膜が破裂し、内リンパ液と外リンパ液(前庭階、鼓室階)が混ざりあって強いめまいや難聴が引き起こされるようになると考えられています。膜は破れても再生されるので、めまいは治まるようになりますが、再び内リンパ水腫が起きることで、また発症するようになります。なお繰り返す原因は現時点ではわかっていませんが、ストレス、睡眠不足、疲労などが影響するのではないかと言われています。

診断

赤外線フレンツエル眼鏡での平衡機能検査を行い、眼振(眼の振るえ)の有無を調べます。純音聴力検査で片側の低音部の難聴が認められることも多いです。

治療

来院時にめまいが強ければ、利尿剤とステロイド薬、嘔気が強ければ制吐剤の点滴を行います。そのうえで抗めまい薬、内リンパ液が溜まるのを防ぐために利尿薬の内服をめまいが消失するまで、もしくはめまい発作後の1か月程度行います。また、これらの薬物療法で改善せずめまい発作を反復する場合は、めまい外来のある総合病院、大学病院に紹介します。総合病院、大学病院では再度の詳細な検査を行い、必要であれば手術療法が行われます。具体的には、内リンパ液を溜めないために内リンパ嚢に穴を開ける内リンパ嚢開放術など内耳の手術が行われます。そのほか生活習慣の改善も重要で、精神的、肉体的過労を避ける、睡眠を十分にとる、ストレスを解消する、有酸素運動を行うことや十分な水分摂取(水分摂取療法)も大切です。

良性発作性頭位めまい症

症状

良性発作性頭位めまい症は、寝返りを打った際や頭を洗うために下を向いた時、あるいはベッドから起き上がった時など、特定の頭の位置で出現する激しい回転性めまいです。じっとしているとめまいが数分で止まるのですが再度頭を動かすとめまいが起きるのが特徴です。難聴はおこりません。耳が原因によるめまいの中では最も発症数が多いのですが、比較的治りやすい疾患でもあります。再発が30~50%に認められます。

なぜ良性発作性頭位めまい症になるのか

内耳にある耳石器(頭や体の傾き具合を感知する器官)から耳石(炭酸カルシウムの結晶から成る結石)が剥がれ、三半規管の中に入り込むことで起きると考えられています。なぜ耳石が剥がれるのかについては現時点ではよくわかっていません。再発が30~50%に認められることを考慮すると体質的なものかもしれません。

診断

赤外線フレンツエル眼鏡での頭位変換平衡機能検査を行い、眼振(眼の振るえ)の有無および向きを調べます。眼振の向きが頭位で変化するのが特徴です。これにより原因となっている三半規管を特定します。

治療

治療に関してですが、耳石を三半規管の外に移し、リンパ液の流れを正常にしてめまいを起こりにくくする浮遊耳石置換法(頭位変換治療)を行います。当院で実際に行って、方法を覚えていただき自宅で1日2~3回行っていただきます。1回の浮遊耳石置換法でなおる方もおられます。通常1週間程度で治癒します。

前庭神経炎

症状

突発的に激しい回転性のめまいと吐き気、嘔吐が起こるのが特徴で、それが数日から1週間くらい続きます。難聴は伴いません。その後もふらつきが数週間続きます。

なぜ前庭神経炎になるのか

めまい発作の数日から1~2週間前に、風邪などの上気道の感染症にかかっていることが多く、風邪ウイルスによる前庭神経(平衡感覚を司る神経)の炎症が原因とも言われていますが、詳しい原因は解明されていません。

診断

赤外線フレンツエル眼鏡での平衡機能検査を行い、眼振(眼の振るえ)の有無を調べることで診断をつけます。

治療

症状を緩和させる薬(抗めまい薬、吐き気止め)を使用し症状が軽快消失するまで内服します。めまいが完全に消失するまで1か月程度要することが多いです。

小児のめまいや耳鳴り

小中学生でめまいや耳鳴り、頭痛で受診される方に起立性調節障害が多く認められます。平衡機能検査や純音聴力検査で異常がないのですが、ご本人の訴えが強いのが特徴です。起床しにくいこと、長時間の立位で気分不良が生じること、入浴時に湯船から出た直後の立ちくらみ、気分不良を訴えたりすることから判断します。起立性調節障害は成長期の疾患で徐々に改善します。診断は坐位と急に立ち上がった際の血圧の変化などで確認します。治療は生活習慣の改善を行い、症状が改善しない場合には昇圧薬の内服治療となります。

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